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    オープンカー・カブリオレ(各メーカー)

 

 

  フィアット124スパイダー・ルッソ・プラス

 

MX-5をイタリア風味にするというフィアットの試みは、上品な道具ではあるがスポーツカーとしては説得力に欠けるという、二面性の結果を招いた。

 

どんなクルマ!

バルケッタの生産が終わって10年以上。小型2シーターの影がすっかりと息をひそめてしまっていたが、フィアット124が同マーケットへ復帰するきっかけとなった。

バルケッタよりも大きなアドバンテージとなるのは、後輪駆動であること。さらに英国仕様の場合、右ハンドルが用意されているという、ふたつの点である。
ただ、イタリアで作られているわけではない。それにビジュアル面でバルケッタほどの

オリジナリティがあるわけでもない。あくまで4代目のマツダMX-5をベースとしていることは、どこから見てもわかるのだ。

実はもともと、このクルマはアルファ・ロメオの名を引き受ける予定だったという。けれどフィアットのトップは、新世代アルファ・ロメオはイタリアで作られるべきだと判断し、日本の広島で作られるモデルをフィアットにしたという話を聞いたことがある。
ちなみにフィアットは124を購入する年齢層を、MX-5よりも高く設定している。それゆえ荷室はMX-5よりわずかに大きく、サスペンションのセッティングもやわらかい。エンジンにはターボ加給を施すことで、さほどエンジンを回さずともパワーを得られるようにしている。
これまでのテストは、イタリアのごく限られた環境のみでおこなったが、今回は英国の峠道で、主にシャシーにどれほどの旨味があるかを確かめることにする。

 

どんな感じ!

日本のエンジニアリングとイタリアのデザインのアマルガムとしてフィアット124はカスタマーを魅了するべきだと考えてきたが、実際のところは怪しい。
間延びしたオーバーハングと、しつこい彫りの深さがどうにも気がかりなのだ。特にMX-5と並べてみると、なんだか見た目がごちゃごちゃしている。もちろん比較対象を、オリジナルの124にすれば、‘かつての面影をきちんと残している’ と褒められるかもしれないが、そろそろレトロであることにすがることはやめ、前を向いてみるのもいいのでは? と思う。

内装はMX-5とほとんど同じである。仮にターゲットとする年齢層をMX-5よりも上に設定したいのであれば、もっとスペースを稼いだり、ストレージを追加するなどの工夫が必要ではなかったのかと思う。

荷室容量はMX-5よりも大きくなっているが、これもほんの僅かな差に留まっている。MX-5に載せることができなかった荷物を124では載せられるなどといったことは、ほとんどないはずだ。両者の違いをアピールする重要な項目となるのが1.4g ‘マルチエアII’ ターボ・エンジンだろう。

たしかにフィアットが目指した ‘大人のための’ 味つけはクリアしているように思える。ただ、これが ‘興奮を掻きたてる’ レベルに至っていないのも事実である。サスペンションがやわらかくなったおかげでボディもロールしやすい。ステアリング・レスポンスのみならずスロットル・レスポンスもMX-5の歯切れのよさがない。

そのぶん、たしかに市街地や長周期のうねりが連続する路面ではしっとりと落ち着いているのだが、トレードオフがハンドリングに如実にでている。特にこのクルマが後輪駆動のロードスターであることを考えると、活気や正確性、無条件の楽しさを期待してしまう。それだけに落胆してしまうのである。

具体的には、ステアリングがMX-5より重く、切った際の反応も何だか漠然としている。コーナリング・バランスも甘美とはいいがたい。落ち着くまでに時間が掛かるし、スロットル操作による姿勢変化も難しい。

2000rpm以下の1.4?ターボ・エンジンのレスポンスも眠気を誘う。追い越しにも気を使ってしまう。2000rpmを超えるとMX-5には力づよい加速を披露してくれるが4500rpmでは息苦しくなる。5000rpmを超えるとエンジンが限界に達しているのがわかる。明確に息がつづかなくなるのである。
おだやかなクルーズだと
10?11km/g台の燃費に落ち着くが、MX-5に比べると大してよくないのも問題だ。

 

「買い」か!

たぶん「買い」。ただし、レアで変わった2シーターのオーナーになるという覚悟が必要だ。

しかし考えてみれば、イタリアの2シーター・オープンはどれもいいところだらけではなかったではないか。そういったアンバランスさに否応なく惹かれるという ‘素質’ を自覚するならば買ってもいいだろう。

ただ、かつての魅力的なモデルには、悪い面を受け流してもいいと思えるほど、明らかなよい面もあった。124はどうだろう? このクルマにしかない味わいや明快さのようなものを、少なくとも筆者は感じない。

 

 

  マツダ NDロードスター2.0 

 

どんなクルマ!

1.5gのモデルに続き、2回目の先行試乗。正確にはプリ・プロダクション・モデルであり、英国内での販売開始は今夏終盤。

コワーカーのマット・プライヤーがテストしたエントリー・レベルの1.5gガソリン・モデルを試乗した時に取り付けた約束。それが2.0gモデルの試乗だったのだ。

軽く、小さくなったMX-5は、どのモデルよりも初代の純粋さに近いと感じている今、果たして、2.0gのエンジンが必要なのか? と思うのは私だけではないはず。
 
1.5g→2.0gになることによって、29psと5.1kg-mのエクストラ・パワーを得て、

車重は25kg ‘も’ 増加。CO2排気量は22g/km増え、燃費は1.5km/?悪化。‘ペナルティ’ と表現するに差し支えないだろう。

一方、リア・マウントのLSD、フロント・ストラット・ブレースが英国仕様の2.0gモデルに標準採用というのは魅力的である。

‘スポーツ’ グレードは、よりスポーティーなサスペンション・セットアップとなり、その一例としてビルシュタインのダンパーが与えられている。これにともない価格も上昇。予想よりも安価だったが、£850(17万円)のアップとなる。

どんな感じ!

先に結論から言おう。排気量が大きくなったぶんだけの ‘旨味’ が増している。

LSDとストラット・ブレース、ビルシュタイン製ダンパーを装着したスポーツ・グレードをテストした結果、心から優れたクルマであると思えた。マツダはこれまでのなかで最良の電制アシスト・ステアリングを開発した。クイックでありながらオフセンター付近も正確。
ドライバーを歓喜させる正確性を確保しながら、速度に依存しない精緻さを携えている。

2.0gになることによって重くはなっているものの、鼻先はことのほか軽く、明確に先代より身のこなしは軽快になった。

アクセルをどれくらい踏み込み、あるいはどれくらい緩めれば、どんな挙動を示すのか。細やかに調整しながら、思ったとおりに向きが変わる体験は、普通あまりできない。

ビルシュタインのアシに変わったことで、ボディの動きを極力抑えたうえで、コーナリングをこなすかと思いきや、意外にシャシーはデリケート。ロールをわずかに許容する性格である。ただこのセッティングは実に絶妙。1.5gよりは硬いものの、フランスのテスト・ルートでは、バンプやキャンバー、ジョイントを最低限の動きにサラリと抑えこむ。

£850(17万円)を追加投資したからといって、ギュッとハンドルを握っていなければおっかなくなってしまうほどのパワー増強がなされていないのは事実だが、出力増加分は確かに感じ取ることができる。

1.5gよりも低い回転域からトルクが湧きあがるおかげで、スロー・コーナーの脱出時でも速い速度域に素早く復帰できるのもいい。

2.0gユニットそのものはもう少し煮詰める必要があるし、6速MTもこのユニットに合わせた煮詰めが必要だということは否定しないが、現時点でもプッシュすればするほど喜んで応えてくれるエンジンであることは間違いない。リア・タイヤの高いグリップ力も頼れる存在だ。
キャビンは先代よりもコンパクトになり、着座位置はセンター側に15mm、下方に20mm移動している。ほとんどリア・アクスルの上に座るかたちだ。

パーフェクトな重みのペダルとしっくりする位置にあるギアレバー、そしてシート。3点の配置は限りなく吟味されており、快適だと感じる。

一方、ステアリングのリーチ調整はできないため、これが長身の人間にとって唯一の、そして現実的な欠点になっている。

前後方向が短くなったキャビンは、座ったまま幌が開閉できるという嬉しいアドバンテージをもたらしている。そのうえ、高速道路の速度域でも髪がかき乱されることはないし、大声を張り上げて会話する必要もない。

幌単体が驚くほど軽いおかげでたったの5秒程度でサクッと開閉できるのもいい。

キャビンはBMW Z4やアウディTTの世界観に比べると劣っているものの、ロードスターが掲げるプライスを考えると不満はない。

プリ・プロダクション版であるにもかかわらず、仕上がりは良く、やわらかい手触りのプラスティック・パーツや、スイッチの配置など、細部まで配慮が行き届いているのもいい。

一番手に入れやすいSEトリムでは我慢しなくてはならないが、SE-L以上のトリム・レベルにはとても使いやすいインフォテインメント・システムが標準でつく。

センター・コンソール上にあるiDrive風のロータリー・ダイアルでコントロールするのだが、シンプルで操作しやすい。

荷室容量はこれまでより20g小さい130gにとどまるが、四隅が直角に交わっているため、荷物の出し入れや整理がこれまでよりもしやすいと感じた。 2シーター・オープンの購入を考えているならば、無視することは極めて難しいモデルといえる。

最終的な結論は、英国内の悪路と峠を攻め込んだのちに出したいが、このプリ・プロダクション版に乗るかぎり、かなりの競争力が見込めそう。ミニ・ロードスターやZ4、TTほどの自己主張を得意とはしていないものの、運転する楽しさや費用対効果は中でもトップ・レベルであることは間違いない。

1.5gと2.0gのどちらを選ぶかに関しては、ドライビングを楽しみたいならば1.5g、オープン・トップを味わいたいならば2.0gといった別れ方になるだろう。

これまでの英国のマーケットを観察すると、より大きいエンジンの方が売れているが、この世代に関しても同じ結果になるだろうとマツダは考えている。

どちらの排気量を選んだとしても、コーナーのスリルは確約してくれるが、こちらの2.0gの方が、より早い段階でスリリングな領域に踏み込めることをお伝えしておく。

 

  マツダ MX5ロードスター 

 


どんなクルマ!

マツダが、MX-5にテコ入れをする時点で、何故パワー・アップを考えなかったか不思議だ。6ヶ月前、われわれの前に200bhpのエンジンを搭載したGTを発表したが、しかし、それは現実のものとはならなかった。また、今年、2013年に新しい4代目のMX-5がデビューするのではという噂もかつて存在した。それは、より小さいターボチャージャー付きエンジンが搭載されるというものであった。しかし、その”SkyActiv MX-5″の線も消えてしまった。

従って、2006年にデビューした3代目MX-5については、しばらくの間、大きな変化はないようである。
その代わり、そのライフサイクルの延命を計るため、2、3の特長ある装備をMX-5にもたらした。

どんな感じ!

新しいMX-5には、ニュー・デザインのグリルとパンパー、そしてチン・スポイラーが与えられ、5.8インチのタッチスクリーンを持つインフォテーメント・システムが装備された。そのインフォテーメント・システムは古くさいTomTom製だが、それでもMX-5にとっては最初のビルトインされたナビゲーション・システムが与えられたモデルだ。その価格は600ポンド(8.6万円高)となっている。

エンジンは158bhpの2.0で、6速のマニュアル・ギアボックスが組み合わせられる。
雑音の多い4気筒エンジンではあるが、よりレスポンスを向上させる目的で改良されたスロットルは、

右足の反応に非常に素直だ。エンスージァスティックなドライバーの入力に反応してくれるため、多くのバイヤーにとっては非常に魅力的なユニットであることは間違いない。リア・ドライブのダイナミックなドライビングが愉しめるが、限界付近の挙動も従順で滑らかだ。

前後荷重の変化に併せて改良されたブレーキや、直感的なバランスのとれたシャシーは、今なお魅力的であることに変わりない。

 

  メルセデス・ベンツE400カブリオレ

 


どんなクルマ!

フェイスリフトされたメルセデス・ベンツEクラスのカブリオレだ。そのスタイリングは、サルーン、クーペ同様、4ライトのヘッドランプが2ライトになり、シングルバーのスポーツ・グリルが与えられた。また、フロント・バンパーにはより大きなエア・インテークが開けられ、テール・ランプがリデザインされ、クローム・トリムも新しくされた。確かに、劇的な変化ではないが、それでもヘッドランプを含めたフロント・エンドの変更は成功を納めることになるだろう。

エンジンは4ドア・モデル同様に、2.1?4気筒ディーゼルがE220 CDIに、3.0?V6ディーゼルがE350 CDIに搭載される。また、ガソリン・ラインアップとしては、新たに希薄燃焼タイプの181bhpの2.0?4気筒ターボと、ここでテストした3.0?V6ツインターボが加えられた。

この3.0?ツインターボは、329bhpのパワーと48.9kg-mのトルクを持ち、7速のGトロニック・プラスと組み合わせられる。パフォーマンスは、0-100km/h加速5.3秒。燃費は12.7km/?で、価格は£49,635(775万円)からとなっている。

3ドアのE63に対応するモデルは存在しないが、AMGスポーツ・プラス・パッケージでは、2トーンの19インチ・ホイール、スポーツ・シート、ナッパ・レザー・トリムと、トランクの上にAMGリップ・スポイラーが装備されることとなる。

どんな感じ!

英国のスポーツ・モデル好きのニッチな層はAMGスポーツ・プラス・パッケージを望むだろうが、実際のところ、E400はシンプルなSEトリムでも充分に美しい。

1845kgのオープン・トップ・モデルは、その中心はスムーズさであり、新しいV6エンジンもそれを助長する。実際にも、そのエンジンのパフォーマンスは、バックグラウンドで苦しむような結果をもたらすことはない。常に、寛大な唸りを響かせて、そしてスロットルが思い切り踏まれるのを待っているといった感じだ。

E400のV6ツインターボ・パワーは、疑いもなく好感の持てるもので、通常のドライブでは組み合わせられる7速Gトロニック・ギアボックスのロング・レシオと相まって、優雅で寛げる走りを披露する。それでいて、一旦スロットルを踏み込めば、速度計の針が上昇を続けるだけだ。

E400カブリオレは、相変わらず高速走行における風の影響を最小限に抑える作りがされている。キャビンの改善はそれほど目立たないが、ギアスイッチやコンソールを含め快適性のために設えられた空間なのだ。エアクラップ・ウインド・ディフレクターと、2つのヘッドレストを結ぶオプションのエア・スカーフを立てれば、160km/hであってもドライバーとパッセンジャーが会話をかわすことが可能なほどだ。

 

  アウディRS5カブリオレ

 

どんなクルマ!

アウディA5レンジの中で、RS5カブリオレはプレミアムなエクステリアとインテリア、莫大なパフォーマンス、4輪駆動を兼ね備えた4シーター・カブリオレだ。

ドロップトップのRS5は、インゴルシュタット製ハンドビルドによるナチュラル・アスピレーションの4.2?V8がその心臓に搭載される。このところ、ターボ全盛のアウディのエンジン・ラインナップの中では、今や貴重な存在となったそのエンジンは、444bhpのパワーと、43.8kg-mのトルクを発生する。これに4WDクワトロ・システムと、7速

のSトロニック・トランスミッションが組み合わせられる。3層のファブリック・ルーフは、50km/h以下であれば、折りたたむのに15秒、クローズにするのに17秒という時間。より大きなエア・インテーク、特別あしらえのバンパー、フレアしたホイールアーチが、このモデルが強力なパワーの持ち主であることを主張する。

インテリアは、ホールドの良いナッパ・レザーのスポーツ・シート、どっしりとしたフラット・ボトムのステアリングをはじめ、上質な装備が施されている。

どんな感じ!

70,000ポンド(1,040万円)という価格は、もちろんオープンエア・ドライブを愉しむための最も安い手段ではない。しかし、最もスリルに富んだもののひとつかもしれない。昨年後半、すでにレフトハンド・ドライブのRS5カブリオレをテストしているのだが、今回は、いよいよ英国でライトハンド・ドライブのモデルのステアリングを握る機会に恵まれたのだ。

3層のファブリック・シートが上がっていれば、それが例え高速道路であっても外部からの雑音は極めてよく消音される。そして、ルーフを下ろしても、風の巻き込みは少ないのも特徴的だ。

予めセットされたドライバー・モードをダイナミックにすると、オーバルのテールパイプから吐き出されるエグゾースト・ノートの高まりと共に、加速は更に鋭く、ステアリングはシャープになり、そして7速Sトロニックもシフトをホールドするようになる。試乗したモデルは、ドライバーズ・モードの他に、サスペンションの高さを調節するオプションのダイナミック・ライド・コントロール・システムも取り付けられていた。

乾燥重量は1920kg。これはRS5クーペよりも205kg重たく、BMW M3コンバーチブルと比較しても15kg重いものの、そのミッドレンジからの強力な加速に感動しないというのは難しいことだ。また、その重さゆえにストッピング・パワーに不安を感じるかもしれないが、フロントΦ365、リアΦ324のブレーキは実に効果的に効く。

RS5カブリオレは、標準的なA5カブリオレよりも20mm低くなり、固められたスプリングとダンバー、アンチロールバーなどが装備される。そのため、コーナリングでのレスポンスはこの手のサイズのクルマにしては敏感ということができよう。若干、トルク・ベクタリングによってパワーが分配されるアクションが、意にそぐわないようなフィーリングを与えることがあるが。

また、とりわけダイナミック・モードでは、あまりにもハードな乗り心地によって、グリップやアクセラレーションの限界を愉しむことができなくなってしまうこともあった。テスト車両は20インチ・ホイール(標準は19インチ・ホイール)を履いていたが、しばしば異常な振動すら感じられる程に、その乗り心地が固いのだ。コンフォート・モードにすれば、ロード・マナーは向上するが、そうなるとRSとしての面白さがなくなってしまう。

ドライブ・セレクトは、オートマティックとインディビデュアルなセッティングが可能。後者は、ステアリング、サスペンション、エンジン、ギアボックスなどをドライバーの好みにセットできるもの。これを上手くセッティングすれば、もっとも良い妥協点を見出すことができるかもしれない。

 

  フォルクスワーゲン・ゴルフRカブリオレ

 

どんなクルマ!

オープン・トップのフォルクスワーゲン・ゴルフの中で、最も強力なモデルであり、38,770ポンド(566万円)と最も高価なモデルがこのゴルフRカブリオレだ。その価格は、エントリー・レベルのポルシェ・ボクスターよりも1,181ポンド(17万円)も高い。これはさすがに高すぎる値付けだろう。

そのゴルフRカブリオレのベースとなるのは、現行の第7世代のゴルフ・ハッチバックではなく、ひとつ前の第6世代。エンジンも、アウディS3や今年後半に登場するゴルフRハ

ッチバックに搭載される予定のEA888ではなく、従来のEA133だ。このEA133は、ターボチャージャー付きの2.0?4気筒で、1.2バールの過給圧によって、261bhpのパワーと35.7kg-mのトルクを得るようにチューニングされている。これは、ゴルフGTIよりも55bhp、7.2kg-m大きい値だ。

ギアボックスは6速のデュアル・クラッチが標準で、シロッコRと同様、電子制御のディファレンシャルが取り付けられる。また、アンチロールバーの径が太くされ、ダンパーとスプリングのレートも上げられている。19インチ・ホイールが装着され、車高はスタンダートなカブリオレよりも25mm低くなっている。英国では、ノーコスト・オプションで18インチ・ホイールを選択することも可能だ。

ゴルフRカブリオレは、ファブリック・ルーフを持つ。カルマンとの共同開発によるルーフは、電子制御油圧式の開閉システムを持ち、29km/h以下であれば9秒で開閉が可能というもの。標準的な装備は、バイキセノン・ヘッドランプ、LEDデイタイム・ランニング・ライト、LEDテールライト、マルチ・ファンクション・ステアリング・ホイール、フロント・スポーツ・シート、本革製カバー、エアコンとパーキング・センサーなど。オプションとして、ノーマル、コンフォート、スポーツの3段階にダンパーを切り替えが可能なシャシー・コントロール・システムが用意される。

どんな感じ!

ルフRカブリオレは、まさしく最速のゴルフ・カブリオレだ。直線では印象的な加速を示す。それはデュアル・クラッチの適切なレシオと、強いローエンドのトルクによって作り上げられる加速だ。

EU6のエミッション・コントロールが要求されているため、若干のパワーを失っているかもしれないが、それでもあらゆる面で活発なパフォーマンスを提供してくれる。

他のRバッジの付けられたモデルほどではないにしろ、その荒々しいサウンドも気持ち良い。

そのボディは3ドア・ハッチバックよりも94kg重いため、0-100km/h加速はハッチバックよりも0.9秒遅い6.4秒というパフォーマンスだ。

直線では印象的な速さを見せるゴルフRカブリオレだが、コーナーではダイレクトさとレスポンスという面で、ハッチバック・モデルには及ばない。80%の力で走っている分には、オプションのシャシー・コントロールをスポーツにしていれば、電子制御によってアンダーステアは抑えられる。しかし、オープン・トップの構造故に、やはりボディ剛性に欠けるという弱点がある。

ステアリングはフィードバック感に欠ける。また、路面の凹凸がある場面では、きれいにその凹凸を拾ってしまう。とはいうものの、全体的なドライビング・クオリティに不安があるわけではない。コンフォート・モードにスイッチを切り替えれば、その乗り心地は劇的に改善される。

また、ゴルフRカブリオレの優れている点は、風切り音が非常に低く抑えられていることである。インテリアは古い第6世代のゴルフのままだが、そのクオリティとフィニッシュは、高価なオープン・トップのモデルに相応しい仕上がりといえる。

 

  シトロエンDS3カブリオ 1.6 THP Dスポーツ

 

どんなクルマ!

シトロエンDS3カブリオは、ミニ・コンバーチブルやフィアット500Cのライバルとなるモデルだ。そして、コンバーチブルの最も大きな市場である英国で、大いに受け入れられそうなモデルでもある。

フィアット500Cのように”サーディンの缶の蓋”タイプのルーフを持つ。キャンバス・トップのルーフは、ボタンを押すことによってリア・クォーターに格納されるというものだ。確かに、このタイプを厳密にカブリオレと定義するのは間違いなのかもしれないが

、この方式はテクニカル面でのメリットがある。それは、オープン化によるボディの補強があまりいらないこと。そしてブート・スペースを犠牲にしないことなどだ。

DS3カブリオは、ハードトップ・モデルと若干異なるエクステリアが与えられている。新たなリア・スポイラーや、三角窓周辺の処理、シトロエン・レヴォルテやサーヴォルトといったコンセプト・モデルの影響が見られる新しい3DのLEDリア・ライトなど。特にライト周りの処理はDSのプレステージ感を高めている。

通常モデルと同じように、目眩がするぐらいの数多いボディ・カラーや屋根のデザイン、ホイールのスタイルといったカスタム・オプションはこのDS3カブリオにも引き継がれている。

エンジンは3つが用意される。VTi 82、VTi 120、そしてTHP 155だ。トランスミッションは5速または6速のマニュアルが組み合わせられる。

トリムも3種類。下から、Dサイン、Dスタイル、Dスポーツというラインナップだ。

英国で最も人気が出るのはDスタイルのVTi 120だろう。しかし、今回、われわれがテストしたモデルはトップ・トリムだるDスポーツのTHP 155だ。

どんな感じ!

 DS3カブリオのルーフは、コンソールに配置されたスイッチで、中間、水平、全開といった3つの位置にセットできる。このルーフは最高120km/hの速度で操作でき、全開から閉まるまで16秒で動作する。ミニ・コンバーチブルの方が、その開閉スピードは速いが、そのためには32km/h以下でないと動作しない。また、フィアット500Cも60km/h以内という制約がある。もし、DS3カブリオのルーフを120km/h以上で操作しようとするならば、情報エンタテイメント・スクリーン上に警告が表示されるという仕組みだ。しかし、通常の高速クルージングで開閉ができるというのは大きな利点だ。

ルーフを完全に閉じると、ノイズからは無縁なキャビンが形成させる。また、オープンにしたところで、そのウインド・ノイズは許容範囲だ。但し、高速走行となると、キャビンの周りで渦巻くかなりの風切り音が入ってくることになる。エア・ディフレクターも、通常の速度であれば効果的だが、高速域になるとほどんと役に立たない。

フィアット500Cと同様に、ファブリック・ルーフを全開にすると、リアの視界が遮られてしまう。そのため、標準でパーキング・センサーが取り付けられているというわけだ。

また、DS3カブリオがミニ・コンバーチブルやフィアット500Cに対して優位な点は、リア・シートの定員が2人ではなく3人ということだ。

1.6?gエンジンは非常に好印象だ。ほんの少しターボ・ラグを感じるが、パンチがある。DS3カブリオは、通常のハッチバックよりも25kg重いが、0-100km/h加速が0.1秒ほど遅くなって7.4秒になるぐらいだから、そう大きな影響はない。

また、17インチ(16インチも選ぶことができる)のホイールでも乗り心地は良い。

ステアリングはマイルドではあるがスポーティなものだ。確かに、ワインディングではフィードバック不足を感じるが、このクルマ自体が、2級国道を飛ばすよりも、陽当たりの良い海岸通りをゆっくりと走るシチュエーションの方が向いているのだから、これで文句はない。

ブート・スペースの大きさもDS3カブリオの魅力のひとつ。フィアット500Cは185?だし、ミニの125?に対し、DS3カブリオは245?という容量を確保しているのだ。

 

  フォルクスワーゲン・ビートル・カブリオレ・デザイン2.0TDI

 

どんなクルマ!

新しいフォルクスワーゲン・ビートルは、そのオリジナル・モデルよりもアイコン的な存在にはなれないでいる。それは、ミニやフィアット500に対して、オリジナル・モデルの現代的解釈という意味において成功していないのかもしれない。とは言っても、人々がこのビートルを求めるのは、やはりそのスタイルに魅力を感じているからだ。

フォルクスワーゲンのデザイン・ボスであるクラウス・ビショーフは、ビートルは、また違った意味においてゴルフGTIと並ぶブランドであるという。そして、様々な意味で

、このカブリオレはフォルクスワーゲン・ビートルの究極の表現ということができよう。ルーフを下ろして、陽の光輝くロサンゼルスのハイウェイを走る。スペースの取り合いが激しいため、本当にリラックスした走りはできなかったが、それでもビートルの美しいルックスは、ドライブしていて幸せな気分になった。

どんな感じ!

残念なことに、そのプラットフォームは現代のフォルクスワーゲンの中では旧いものとなってしまった。ミ二のオープン・モデルが、最新のプラットフォームそのままにリファインされているのに比べれば、その部分においては不利である。

とはいうものの、緩やかなペースで多少アンジュレーションのある道を走る分には、デザイン・トリムでは標準となる17インチ・ホイールを履いた乗り心地は素晴らしいものだ。しかし、極端に凹凸のある道、特に街中では若干固いような感じがした。また、電気機械式のステアリングも、路面のコネクションの感覚がない。

確かに、最高のスペックを持つゴルフに比べてしまうと、そのプラットフォームとサスペンション・セットアップには、若干の失望を感じてしまうのはいかしかたがないことかもしれない。

しかし、それでも陽気で元気でバランスのとれたドライブは味わえる。138bhpの2.0リッター・エンジンは、若干ピーキーだが、充分なパワーを持つ。そして、滑らかな6速デュアル・クラッチと組み合わせられ、17.8km/lという燃費を稼ぎだす。正確な右足の動きが、そのナチュラルなキャラクターにマッチしているようだ。

ルーフを上げていても、下ろしていても、そのキャビンは静かだ。またドライビング・ポジションもキャビンの環境も良い。また、その高いダッシュボードと近いフロント・ガラスは、原型のフォルクスワーゲン・ビートルの記憶を呼びおこすものがある。

ちなみに、ルーフは50km/h以下であれば9.5秒で開ける事が可能で、逆に上げるのも11秒というタイムだ。フラットに畳める幌は、視界をまったく邪魔しない。更に、ブートスペースは以前のモデルよりも10%以上大きくなった225リッターで、ヘッドルームも12mm広くなっている。また、リア・シートは折りたたむことも可能だ。

 

  メルセデス・ベンツSLK250 CDI スポーツ

 

どんなクルマ!

ディーゼル・カブリオレはもはや謎でも何でもありません。オイルバーナーの改良が著しく、しかもそのパフォーマンスにおいてもディーゼルのほうが望ましい結果になっているため、既に新車の販売の半数以上がディーゼル・モデルなのであるから。

メルセデスがその小型ロードスターに201bhpの4ツインターボ4気筒ディーゼルを選んだのも、スポーツカーとはいえランニング・コストを無視できなくなったからという理由もある。

SLK250 CDIはシングルクラッチの7速オートマチック・ギアボックス「7G」を標準で装備している。ちなみに、われわれがテストしたのは10mm車高が落とされ、18インチ・アロイ・ホイールを履くスポーツ・モデルである。

どんな感じ!

エンスージァスティックなドライブに少しばかり無関心であるのであれば、それはなかなかいい感じと言えよう。通常のドライブでは、このパワー・トレインは、ガソリン・エンジンよりもまとまりがある。ギアレシオも洗練されており、扱いにくいギア・ポジションを選んでしまうようなことはない。簡単に言えば、経済性を気にすることなく、クルージングができるクルマだということだ。

もし活発なパワーを望むのであれば、51.0kg-mのトルクが中速域での素晴らしい力を発揮してくれる。SLKはドライバーにリラックスを与えながらも急速な加速を味あわせてくれるのだ。

もちろん、すべてが良い知らせというわけではない。ルーフを開けていようと閉めていようと、エンジン・ノイズが耳に入ってきてしまうのは問題だ。クルージング中は良いものの、この小さなディーゼルは総じてノイジーである。ディーゼルのサウンドトラックが、コンバーチブルというオープン・スタイルと戦っているようでもある。

乗り心地は、行き当たりばったりという感じが強い。特に街乗りでは硬く、ダンピングに繊細さが足りない。また、オプションのダイレクト・ステアリング(215ポンド=2.7万円)は速度感応型のステアリング・レスポンスを与えてくれるはずだが、それほど素晴らしいとは思えなかった。旅行程度であれば快適だが、魅力的なものだとは思えなかったのである。

 

  ポルシェ911カレラSカブリオレ

 

どんなクルマ!

ポルシェ911カレラSカブリオレは、最新の911カレラSクーペのオープントップ・バージョンで、来月には英国市場へ投入されるモデルだ。クーペ・モデルと同様、前モデルに対して、ホイールベースが若干長く、トレッドが広がり、かなり軽くなっている。また、パワフルになったにもかかわらず、燃焼効率は向上している。その重量は、先代よりも45kgも軽くなったが、ポルシェは捻り剛性は18%向上したといっている。

79,947ポンド(959万4000円)の911カブリオは3.4リッターのフラット6から345bhp、

32.2kg-mのパワー、トルクと、0-100km/hが5.0秒のパフォーマンスを持つが、89,740ポンド(1,076万8000円)の911カレラSカブリオは395bhp、44.3kg-mを発揮する3.8リッターのエンジンが搭載され、0-100km/h加速も0.5秒速い。

基本的には7速マニュアル・ギアボックスが組み合わせられるが、ディーラーで「ドッペルクップリングスゲトリーベ」と正しく発音できるのであれば、シュツットガルトのメーカーに素晴らしいデュアル・クラッチ・トランスミッションをオーダーすることができる。PDKは、最高速度こそ少し落ちるが、0-100m/h加速のタイムを速くし、且つ燃費が改善される。また、燃料効率については、すべての911カレラにスタート・ストップ・システムが採用されている。

PDKを装備した911でも感動しないのであれば、オプションのスポーツ・クロノ・パッケージを選択することができる。それは「スポーツ・プラス」モードであれば、0-100km/hを4.3秒で駆け抜け、パフォーマンスをよりシャープにするものだ。

どんな感じ!

構造的にポルシェ911カレラSカブリオレはクーペよりも若干低い。しかし、その違いは数mmだ。インテリアも、いくつかのパナメーラの手法が取り入れられたデザインのクーペと大差ない。ソフトトップは「パネル・ブロー・トップ」と呼ばれる新しいもので、複合プラスティックとファブリックのルーフがマグネシムとアルミで出来ているフレームにマウントされる。このソフトトップは、旧いタイプの多層ファブリックでは成し遂げられなかった、クーペと同じルーフラインをもたらすことに成功している。ルーフの開閉は、センターコンソールにあるボタンを押すだけという簡単なもので、13秒後には、ソフトトップはコンパートメントのリッドの下にキチンと収められることになる。

911カレラSカブリオレは、コクピットからその上げ下げを操作できるウインド・ディフレクターによって、風の巻き込みを抑えることができる。もちろん、すべての風やノイズが無くなるわけではないが、その効果は劇的だ。

911Sカブリオレはクーペの50kg増でルーフをなくしただけであって、大部分の路上で巧で落ち着いたハンドリングを見せる。スカットル・シェイクはほとんど感じない。少なくとも、グラン・カナリア島でのわれわれのテストの間は、剛性不足を感じることはなかった。多少荒れた路面でも、ポルシェのアクティブ・サスペンション・マネージメントのお陰で、クルマが不安定な状況い陥ることはなかったのだ。

もちろん、すべての状況において、クローズドトップと同じというわけにはいかない。クーペとカブリオレがまったく同じだと感じるのであれば、それはドライバーのセンスを疑わなければならない。

395bhpのパワーは非常にスムーズに発揮されるため、しばしば本当にその回転域に達したのかと疑いたくなるほどだ。そして、エグゾースト・ノートはオペラ歌手を嫉妬させる音域を見せる。街中のクルージングでは、ドライバーの肩越しにちょうど良いサウンドが、オープンロードでは魅惑的な変化のあるサウンドが耳に伝わってくる。

ブレーキも秀逸で、新しい電子制御のステアリングも、すでにどこかで書かれているように信頼できるものだ。

われわれのテスト車両はPDKを装着していた。シフトダウンした時のブリッピングは気持ちが良いほど正確だ。マニュアル・トランスミッションと同じぐらいレベルの動作を、オートマチックにおこなってくれる。また、ダブル・クラッチ・ギアボックスの特徴である「惰力走行」時の燃料の節減も取り入れられている。ストッロルを緩やかに放すとギアを開放し、再びブレーキやスロットルに足をかけるやいなやギアを繋ぐというシステムだ。サラブレッド・スポーツカーを、エンジン・ノイズなしに走らせるというのは不思議な感覚である。

スタート・ストップ・システムも同様に驚かされる。ポルシェのシステムは非常に賢いが、しかし、スポーティでなく静かなクルマが望みでないというのであれば、それは少々押付けがましいと感じることもあるだろう。